大阪①

物心つかない頃に一度だけ大阪に行ったことがあるらしい。

 

それ以来で実際はじめてのようなものだ。

 

「ひとり旅平気なの?そういう性格だっけ」と友人に言われたけど好きなバンドの記念公演だけに興奮と期待は大きく上昇し、そこまで考えていなかった。

 

行くと決めてからはあまり実感が湧かずに粛々と荷物やら宿の予約やらを進めていたが、出発前日はやはり寝つけずに少しねぼけまなこで朝食を考える。

 

やっぱりここは新幹線で食べたい。なにを選ぶか迷う嬉しい悩みは旅の醍醐味。

 

崎陽軒のシュウマイ弁当がベストだと頭を過るが通りかかったおにぎり屋さんの天むすからエビの尻尾がはみ出ている姿に目を奪われて変更。

 

はじめてのひとり旅は億劫になるんじゃないかと不安もあったが意外に気持ちは軽く、少し贅沢をした「こだま」のグリーン車は淡色の照明で座席もゆったりと広くて落ち着き、とても快適。

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東京から離れるとビル群は少なくなり、車窓を眺めていると飛び込んできたパノラマに思わず見入る。海の見える景色とともに食べる天むすの味は昨日までの疲れを忘れさせてくれる。

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「京都で降りたくなるんすよ」後輩の新幹線あるあるを思い出した。本当か?と思ったら、めちゃめちゃあるよ!と内心呟きながら目的を見失いそうになった。京都は今度来よう。

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グミを食べ過ぎて胃もたれもすっかり良くなった頃に新大阪に到着。

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大阪城公園に向かう環状線は横並び2人がけでバスのような座席は新鮮だった。天満駅にはaiko「花火」桜ノ宮駅大塚愛さくらんぼ」が発車メロディになっていて思いもよらぬところで大阪を感じる。

 

大阪城公園に到着。ついに始まる!その模様は別に書いてあるので、ここでは割愛。

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ライブ終わりの夜空はいつもより10メートルは高く感じ広々とした気持ち。日常のもやもやもどこ吹く風で控えめは大きく減速して鮮やかで繊細に視界が捉える世界はマリオでスターを手に入れたような無敵でキラキラに映る‼︎

 

なんてテンションが上がりきって、近くのスターバックスで余韻に浸りながらの一杯は格別という言葉しか見当たらないくらい普段とは比べものにならない美味しさ‼︎

 

多幸感に包まれながら電車に揺られていると

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「せやろ」

「えー、そうや。めっちゃそんな感じやんなー」

「そやで(オッケーマークを指で形作る)」

「それカメラやん」

「いや、ズーム出来へんわ!」

「どれ?」

「こうや(オッケーマークを顔に近づける)」

「ズームやん、やっぱカメラやんけ!」

 

※記憶での言葉であり、正しい関西弁ではないのであしからず。

 

飛び交う会話はリズムよく賑わい、なんだかこっちまで笑いそうなくらい明るくて楽しい。やはり関西ならではだ!としみじみ感じながら運ぶ生活の匂いと吸い込む空気はコテコテ濃厚な気がしてきた。

 

見るものはどれも真新しくて何気ない道路ですら飽きない。そうこうしているとホテルに着き、満足感に慣れない土地の新鮮さとともに夜はふける。

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