フジファブリックエキシビション
通りの看板と「フジファブリック」のロゴが見えた瞬間にLiveがはじまるような高揚感が込み上げる。
扉を開けると曲が耳に届き、胸の高鳴りにはやる気持ちを抑えながら入場料を払う。
まだ落ち着かず、空間をイマイチ把握できないので、とりあえずRPGのダンジョンで宝箱がありそうな小脇の通路に目もくれず、ボスが佇むフロアを探す直感をもとに直進‼︎
「茜色の夕日」「若者のすべて」の歌詞が暖簾としてブースの前にかかっており、歌詞カードでみるサイズより、この距離とこの大きさでみる言葉は普段の能動的に捉える感覚とは違い文字そのものが迫るような迫力と文章の質感が、どことなくフジファブリックの変態性を醸し出している。
どこに何があるかわからないまま、お店に入る気分で暖簾をくぐると
どひゃーー!!
ら、らむしのギターやん。
そやね!
そやがな!
と、エセ関西弁で脳内の自分と会話をするくらい現実から妄想へワープしてしまう。
目を凝らしてボディの剥がれを眺めれば、月日の流れを覚えながらも止まっている時間も感じてなんとも言えない感傷的な気持ちになる。同時に、そこにいるような感情も吹き抜けていく。
らむし愛用のストラトキャスターを過ぎると、そこには…!
まだ見てない皆様の為に秘密。
曲の世界観を光や絵で現し、歌詞の言葉とともに体験する展示は至るとこれに散りばめられ、フジファブリックのアルバムの如く変幻自在の演出は視覚と聴覚、そしてVRといたるところで楽しませてくれる。
個人的にとても好きだった。
カーテンから陽が漏れるように透明体の三角柱と言葉はスクリーンに降り注ぐように映し出され、流れる曲と相まって短編小説の一幕を立体的に読んでいる感覚。
フジファブリックだけは無性に好きだ。
音楽はもちろん、そこから滲む物語。
志村さん、山内さん、ボーカルは変わり楽曲に変化は見られても人柄や姿勢は通底していて二人とも愚直に音楽と向き合い、自分をそらさずにあがきながらも曲として肯定するような歌詞は常に自己模倣はせず前進している。
金澤さん、加藤さんが、それを支えているからこそ「フジファブリック」は変わらないまま、新しくなっていく。